実家近くに住む父方のいとこから、連絡があった。
「あなたのお父さんが亡くなったよ」
あれは確か、子どもたちが保育園に通っていた頃だから、20年以上前のこと。
「あ、そうなんだ。で?」
そんな返事をしたような気がする。
「告別式が〇〇日だから、おじちゃん(父の一番下の弟)が参列するようにって言ってるよ」
と従姉妹。
「やだよー、行かないよ!!」
私。
「いやいや、行ったほうがいいよ」
従姉妹。
「そうか、じゃあ行こうか」
なんとも複雑な気持ちだった。
当日は叔父の車に乗って、告別式の会場へ向かった。
幼い子どもたちも一緒に。
私はなぜか泣いていた。
なぜ涙が出たのか、今でもわからない。
心の中では、
「これまでの文句を一度も言えないまま死んでしまって……。このヤロー!」
そんな気持ちだったのではないかと思っている。
斎場に着き、控え室に行くと、奥さんと女の子が3人いた。
長女は、かつて母が抱っこしていた、あのときの赤ちゃんだとすぐに気がついた。
次女は、かなり私に似ていた。
三女は、一番人懐こい性格らしかった。
叔母は、いきなり3人の女の子たちに、
「あなたたちの兄弟なのよ」
と、私たちを紹介した。
私たちの存在をまったく知らなかった彼女たちは、相当驚いていたようだ。
彼女たちの世界に、いきなり登場した腹違いのきょうだいたち。
かなり驚いたことだろう。
叔母はさらに、
「兄弟なんだから、これからは時々会ったり、助け合っていって」
と付け加えた。
その言葉どおり、しばらくは叔父の家の新年会で、数回、三女とは会っていた。
けれど、それ以降は会うこともない。
私の人生には必要のない人間関係だ。
もちろん、父親や彼女たちの母親がしてきたこと、そして私たちを傷つけてきたことを話すつもりはない。
告別式の会場の入り口には、家族旅行や日々の暮らしの中で撮ったのであろう写真が飾られていた。
みんな笑っている。
苦労していた母のことを思うと、写真立てを端から叩き割りたい衝動に駆られた。
そんなことは、誰にも話していない。
奥さんは、私の子どもたちのことを、写真の中の父に向かって、
「パパ、あなたのお孫さんも来てくれたわよ」
と話しかけていた。
孫!?
そんなふうに紹介しないでよ……。
心の中で、そう思っていた。
告別式から数か月後、長女から電話があった。
「父には借金があり、相続放棄の書類にサインをしてほしい」
という内容だった。
どんな理由で借金をしていたのか、知るよしもない。
でも、
やっぱりね……。
借金が人をアホにする。
あの頃には考えられなかったことだけれど、今は強く思う。
何人もの人を傷つけ、きっとお金に振り回されていた生活。
あなたのような人生を、私は絶対に送らないから。
地獄から見ててよね。
この話は、私の人生の一部でもある「波瀾万丈ライフ」の番外編です。
父の借金と突然の失踪から始まった我が家の出来事を、シリーズとして綴っています。
🌊 波瀾万丈ライフまとめ|父の借金と失踪から始まった我が家の話

最後まで読んんでくださり、ありがとうございました。

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