香りの記憶って、ふとした瞬間に蘇る。
「タバコの匂いと父の影」の記事では、匂いが嫌な記憶と結びついていたけれど、
私にもいい香りの記憶があります。
入社した会社に、物腰が柔らかくて、優しくて、上品な女性の先輩がいました。
雨の日の仕事終わりに
「雨で車のライトが反射して見づらいから気をつけて帰るんだよ」
って声をかけてくれたこと、今も雨の日の運転で思い出します。
その先輩、いつも素敵な香りがしていて
「雰囲気に合っていて素敵だなぁ」と思っていたんです。
ある日思い切って
「なんの香水を使っているんですか?」と聞いたら
『CHANELのクリスタルっていう香水だよ』
と教えてくれました。
すると翌日、
「ストックがあるからこれあげるよ」
って、新しい瓶を持ってきてくれたんです。
でもその時、当時付き合っていた彼が海外に行く予定があり、
私はすでに「CHANELのクリスタル買ってきて!」とお願いしていました。
先輩にはお礼を伝えて、せっかくの申し出でしたが、新しい瓶は丁重にお断りしました。
が、帰国した彼からお土産をもらって見てみたら
『EAU DE TOILETTE』
「え!?なんでトイレのもの買ってきたの!?」
って怒ってしまったんです。
でも、あとで調べたら『EAU DE TOILETTE』はフランス語で『オードトワレ』のこと。香水の種類を表す言葉だったんです。彼はちゃんと頼んだものを買ってきてくれていました。
この話を先輩にもして、二人で笑いました。
もちろん彼にも謝りました。
その優しい先輩は、今は天国にいます。
相変わらずポンコツな私を、笑って見てくれているのかな。
CHANELのクリスタルの香りをつけるたび、
優しい言葉と笑顔を思い出す、私の大切な記憶です。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。


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