あらすじ・・
反抗期まっただ中の中学生・百合は、母親との関係もうまくいかず、毎日イライラしながら過ごしていました。
ある日、家を飛び出した百合は、不思議な出来事をきっかけに戦時中の日本へタイムトリップしてしまいます。
そこで出会ったのが、特攻隊員の彰(あきら)。
食堂を営むツルに助けられながら戦時中の暮らしに触れ、百合は彰やその仲間たちと過ごす中で、命の重さや戦争の現実、そして大切な人を想う気持ちを知っていきます。
やがて彰は特攻隊員として出撃する日を迎え――。
切ない恋と、戦争の現実が描かれた物語です。
私は、書籍やテレビドラマでは
あまりファンタジー感の強い内容は得意ではありません。
この作品も、前評判を知らずに読み始めて、
「あ、過去に戻るお話なんだ…」
と気づいた時、
正直、読むのをやめようかなと少し迷いました。
でも、文章がとても読みやすくて、気づけばどんどん読み進めていました。
主人公の百合は、反抗期真っ只中の中学生。
学校でも家でも四六時中イライラしていて、シングルマザーの母親とはぶつかってばかり。
その百合が、戦時中にタイムトリップし、特攻隊員の彰と出会い、恋に落ちます。
この恋の描写が、とてもリアルでした。
好きなのに、その気持ちを認めたくなくて、必死に誤魔化そうとする百合。
読んでいて
「それ、完全に恋だよー!」
と、ひとりでツッコミを入れていました(笑)
でも、この本で一番心に残ったのは、やっぱり“戦争”についてです。
百合は、ツルの食堂で住み込みで働きながら、少しずつ戦時中の生活に馴染んでいきます。
ある日、お使いに出かけた先で空襲に遭います。
目の前で家が焼かれ、小さな子どもが亡くなり、自分自身も焼けた柱が足に落ちてきて負傷する。
逃げ場を失い、
「ここで死んでしまうの?」
と絶望した時、彰が助けに現れます。
読んでいて、その場の恐怖が伝わってきて、胸が苦しくなりました。
お国のために。
戦争を終わらせるために。
特攻隊員として、自ら死を選ぶ若者たち。
それを誇りだと語る彼らと、
「生きられるのに、なぜ死を選ぶの?」
と思ってしまう百合。
その考え方のギャップに、百合は強く葛藤します。
でも、それは今を生きる私たちも同じなのかもしれません。
平和な時代を生きている私たちには、きっと簡単には理解できない。
だからこそ、考えさせられました。
そしてもうひとつ。
ツルが、身元もはっきりしない百合を、何の見返りもなく受け入れてくれたこと。
その優しさに触れたことで、百合は母親への本当の気持ちにも気づいていきます。
反発してばかりだった母親。
でも、本当はずっと愛されていた。
そこに気づく流れも、とても自然で好きでした。
彰が特攻隊員として出撃し、百合は現代へ戻ります。
日常に戻った百合。
けれど、学校行事で訪れた「特攻資料館」で、自分宛ての彰からの手紙を見つけます。
ここから、私は最後まで一気に読んでしまいました。
彰の手紙。
そこには、
死ぬことを選んだことへの後悔や、
百合に対して二人めの妹、と自分自身にも偽っていたことが綴られていました。
エピローグでは、
特攻隊員の彰の心情を表しています。
突撃の直前に見たアメリカ兵に対して
「この人にも家族がいるのだろう」
敵もまた、誰かの大切な人だったことに気づき、艦隊への突撃をさけ海に消えていった彰。
その視点が、とても重くて、苦しかった。
最後は、彰の生まれ変わりなのではと思える転校生が現れ、物語は終わります。
少しファンタジーを感じるラストでしたが、それでも不思議と嫌ではありませんでした。
今も世界のどこかでは、戦争が続いています。
遠い国の話のようでいて、決して他人事ではない。
この本を読んで、
今こうして平和に暮らせていること。
自分の悩みが、どれほど小さなものか。
改めて気づかされました。
ただの恋愛小説ではなく、
「戦争を考える物語」だったと思います。
読んでよかったと思える一冊でした。
現在行われている戦争が一日でも早く終わりを迎えることを心のそこから祈っています。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
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