母が昔を語る
先日の実家でのこと。
母が突然こんな話を始めました。
「最近の夢に〇〇(父)が出てきたのよ。顔は学生の頃なんだけどね…」
驚いて「どんな夢だったの?」と聞き返す私。
実は、私は母や父のことをブログに綴っているのですが、それは内緒。内心ドキドキしながら耳を傾けました。
母は続けます。
「内容はよく覚えていないんだけど、夢を見た後でね、昔のことをいろいろ思い出して。そういえば、お盆休みで帰省したあと、職場のある地域に戻るときのこと。お父さんが駅まで送ってくれるはずだったのに、来なかったのよ。仕方なく自分で駅に行って電車に乗ったんだけど、途中で車内放送があってね。「“〇〇さんに電報です”って。なんと私宛だったの」
「えー!電車の中で電報!?」と私は思わず声をあげました。
内容は「仕事が忙しくて迎えに行けなくて申し訳ない」というもの。
母にとっての思い出であると同時に、「乗客みんなに電報の内容が聞かれてしまう時代があった」という衝撃のほうが大きかったです。
母は最後に笑いながら言いました。
「そこまで思ってくれていたのに、結局は傷つけられたわね」
私は心の中で「しめしめ、ブログのネタをひとついただきました」とほくそ笑んでいました(いけない娘)。
借金が人を狂わせる
その後も母はいろいろ昔話をしてくれました。
さすがに記事には書けないような驚きの話もありましたが、最後に私はこう言いました。
「でもさ、お母さんにとっては結果的に良かったんじゃない?あのまま一緒にいたら、彼女みたいに暗い顔になってたと思うよ」
母は少し考えてから「そうね」と答え、遠い目をしていました。
きっと「どこで父が変わってしまったんだろう」と考えていたのでしょう。
私は「持って生まれたものもあるけれど、優しさに漬け込まれたんだよ」と言いました。
すると母はこう返してきました。
「あの人も可哀想な人だったんだよ」
父は長男として、祖父母の借金をすべて背負わされていたそうです。
リベ大の両学長がよく話している「借金は人をアホにする」という言葉が、まさに当てはまります。
借金を抱えて必死に返す中で、自分もまた借金を誰かに押し付けざるを得ない人間になってしまう。
そんな連鎖の中に父はいたのだろう、と。
母がそう思えるようになったこと自体、年月の力なのかもしれません。
借金のない今を誇れる幸せ
最後に母は笑いながらこう言いました。
「私は借金がないから安心してね」
私も負けじと「車のローンもないし、スマホも一括払いに変えたから借金ゼロだよ」と答えました。
さらに心配していた兄も、今では借金を抱えていないとのこと。
「借金は人をアホにする!」
この合言葉で締めくくり、私たちはホッとした気持ちで話を終えました。
まとめ
母の昔話から垣間見えた父の不器用な愛情。
そして、借金という重荷が人の人生をどう狂わせてしまうのか。
でも今、私たちは借金の連鎖を断ち切れている。
それは小さな誇りであり、安心でもあります。
「借金は人をアホにする」——忘れたくない言葉です。
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