🍀名前が出てこないおばあちゃんと、今の私。——そして私も同じ道を歩いているらしい

「おばあちゃん、犬の名前まで出てきたよ」

先日、娘が笑いながら言っていました。

「おばあちゃん、私を呼びたい時にね、
ママとか、おじちゃんとかおばちゃんとか、全部違って、
最後には飼ってた犬の名前まで出てきたんだよ!」

……うん、それ、知ってる。
私も昔、まったく同じ経験をしている。

だから娘に言いました。
「あなたのひいばあちゃんも、まったく同じことしてたよ〜」と。

そして思いました。
“名前が出てこない遺伝”って、確実にある気がする。遺伝なのか・・。


祖母の「えーっと、あら、誰だったかしら」

私の祖母もとても優しい人でした。
でも、名前が出てこないときの“あの間”が長い。

こちらをしっかり見つめてるのに、なかなか出てこない。
「私は〇〇だよ」って言うと、
「あぁ!そうそう、〇〇ちゃんだった!」と満面の笑み。

その瞬間、「覚えてくれてた〜!」みたいな喜びがあって、
子どもながらになぜか得した気分でした。

今思えば、“脳トレごっこ”に付き合ってた孫時代です。

そして気づけば、私もそのポジションに。

最近の私はというと……
職場で後輩に声をかけようとして、
「あの……ほら、えっと……違う、そっちじゃない!」と迷走。

最終的に「えーっと、誰だっけ!?」と開き直ると、
「私です!」と笑いながら教えてくれる後輩。

その瞬間、ふと祖母の顔が浮かぶ。
あぁ、私、もう立派に“おばあちゃん化”してるなって実感します。


スーパーで出会う“脳内クイズ大会”

一番焦るのは、スーパーで偶然会ったママ友。

「〇〇ちゃん元気?」って言われた瞬間、心の中でパニック。
“誰だっけ?どこの〇〇ちゃん?え、息子?娘?部活?幼稚園??”
思考がフル回転。

結局、笑顔で「元気元気〜!」って言うけど、
内心はカンペなしの早押しクイズ大会状態

相手が覚えてくれてる分、こちらが忘れてると、
ちょっと申し訳ない気持ちになるんですよね。

だから最近は、知り合いを見かけても
“知らないふり”を選ぶことも増えました。
だって、その方が心が平和なんです。

名前が出てこない=人が多い証拠

でもね、最近は思うんです。

名前が出てこないのは、
それだけ心の中にたくさんの人がいるってこと。

祖母も、私の名前を探すまでに
きっと家族や友人、昔の思い出をぜーんぶめくってたんでしょうね。

あの「えーっと…」の時間は、
人生アルバムをめくる時間だったのかもしれません。


年齢を重ねるって、ちょっと笑える進化かも

今ならわかります。
祖母が名前を間違えても、私は全然嫌じゃなかった。
むしろ、「あぁ、いっぱい愛してもらってたんだな」って思える。

そして今、私が誰かの名前を間違えても、
「もう〜、おばちゃん!」って笑ってくれる人がいる。

それって、けっこう幸せなことかもしれません。


🪴まとめ

年齢を重ねるって、
昔の誰かの気持ちが、やっとわかるようになること。

「名前が出てこないおばあちゃん」だった祖母も、
きっと今の私を見て笑ってるはずです。

「ほらね、あなたもこっち側に来たでしょ?」って。

最後まで読んでくださって、ありがとうございました。

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