🍀「香りの記憶と、ポンコツな私」

香りの記憶って、ふとした瞬間に蘇る。

「タバコの匂いと父の影」の記事では、匂いが嫌な記憶と結びついていたけれど、
私にもいい香りの記憶があります。

入社した会社に、物腰が柔らかくて、優しくて、上品な女性の先輩がいました。

雨の日の仕事終わりに
「雨で車のライトが反射して見づらいから気をつけて帰るんだよ」
って声をかけてくれたこと、今も雨の日の運転で思い出します。

素敵な香りの正体

その先輩、いつも素敵な香りがしていて
「雰囲気に合っていて素敵だなぁ」と思っていたんです。

ある日思い切って
「なんの香水を使っているんですか?」と聞いたら

『CHANELのクリスタルっていう香水だよ』

と教えてくれました。

すると翌日、
「ストックがあるからこれあげるよ」
って、新しい瓶を持ってきてくれたんです。

ポンコツ発動

でもその時、当時付き合っていた彼が海外に行く予定があり、
私はすでに「CHANELのクリスタル買ってきて!」とお願いしていました。
彼女には感謝を伝え、新しい瓶は丁重にお断りしたのですが、
帰国した彼からお土産をもらって見てみたら

『EAU DE TOILETTE』

「え!?なんでトイレのもの買ってきたの!?」
って怒ってしまったんです。

でもあとで調べたら「EAU DE TOILETTE」はフランス語で「トワレ」=「香水」のこと。
ちゃんと頼んだものを買ってきてくれていました。この話を先輩にもして、二人で笑いました。
もちろん彼にも謝りました。

ずっと心に残る香り

その優しい先輩は、今は天国にいます。

相変わらずポンコツな私を、笑って見てくれているのかな。

CHANELのクリスタルの香りをつけるたび、
優しい言葉と笑顔を思い出す、私の大切な記憶です。


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